いまだからどうとでもいえることの中の一つ。[かたっぽなくしたてぶくろ]
2007.12.21 Friバスの後部座席に座って本を読んでいた。
停留所から高校生の男女がバスに乗り込んできた。
男の子が先に座り、
あとから女の子が私の隣に腰を下ろした。
甘い香水の匂いがした。
と同時に私の高校時代がフラッシュバックした。
高校に入学すると私の周りにいた女の子は、
急に色気づいたように見えた。
髪を染め、化粧を施した。
私の髪の毛は中学のときと変わらずに黒で、
伸ばしっぱなしの状態だった。
教室よりも図書室にいた。
それを好んでいた。
自分はそのような女子であろうとした。
仲の良い友人が誕生日に香水をプレゼントしてくれた。
小さい、アナスイの香水だった。
ボトルは可愛らしい蝶の形をしていた。
私はそれをつけようと幾度か試みたが、
甘い匂いに嗅覚が音を上げ、
結局は部屋のオブジェに落ち着いてしまったのだった。
高校の頃の方が冷めたものの見方をした。
自ら好んでそうあろうとした。
純愛小説とORANGE RANGEの「花」に
涙することはなかった。
頭が硬くて、強がりで、へそまがりで、
そういう自分が今では馬鹿みたいに思えるし、
けれど今もその時とさして変わりがないからあきれてしまう。
もっと素直に、流行に身をまかせ、
女子高生である時間を楽しんで良かったのかもしれない。
でも神様がもう一度、
女子高生になれる時間を私に与えてくれたとしても、
やはり図書室で本を読んでいると思うけれど。
大人の女性はふんわりと香水の匂いを感じさせる。
しかし私の隣に座った女の子は
あきらかに香水をつけすぎていた。
そこが何とも女子高生らしい。
匂いは鼻にまとわりついたが、
私をしばし懐かしい気分に浸らせてくれた。