僥倖[おぼえがき]
2021.05.26 Wed森見登美彦さんが陣中見舞いに
永楽屋さんの手ぬぐいを稽古場に
送ってくださった。
一枚一枚包まれ中が見えなかったので
皆くじびきのようにおのおの手にとった。
誰かと誰かの図柄がかぶるということがなく、
それだけ種類があるのも凄いし
森見さんのお心遣いがにくい。
私が引いたのは墨絵の虎だった。
先に引いていた隣の席の砂羽さんが
虎いいなあと仰ったので、では
砂羽さんの手ぬぐいと交換しましょうか
と提案してみた。
よろこぶ砂羽さんが可愛らしかった。
砂羽さんの引いた手ぬぐいは
町家の格子の向こうに
南天の実がのぞき雪がしんしん降る絵で、
じっと見ていると
私はそちらの方が好きになっていた。
砂羽さんも早織ちゃんぽいと言ってくれていた。