描きたかったもの[おぼえがき]
2012.11.17 Sat絵に纏る思い出が色々とある。
遠近法を教わる、図画工作の授業の時だ。
小学4年生。
直線を用いるか建物の配置で
遠近を表せば評価されたはずなのに
私はどちらも用いず
草原の遠くを見る少女を描いた。
少女は画用紙の右手前(もしくは左手前だった)で
木の傍に立っており後ろを向いていて、
草の色の濃淡で奥行きを表現したかった。
頭でそう構想しても、濃淡のつけかたや構図が
ヘタクソだったのでのっぺりとした絵になった。
提出すると先生は苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
先生の思惑どおりにやればよかったんよな、きっと
と少し投げ遣りな気持ちになっていたら
隣の席のRくんが
「ぼくはいい絵やと思うで」と言ってくれた。
いつも人を茶化すようなことばかり
言っていた彼が
同情でも讃美でもない声のトーンで
さらっと言ってくれた一言が何だか嬉しく
絵も私も救われたような思いがした。