2016年08月23日(火)
デスバレー国立公園へ・後編1 [アウトドア・旅(森里川海)]
目を開けると
まだ 世の中は 真っ暗 だった 。
前夜 は デニーズ から 戻り シャワー を して
確か
8時すぎ には すでに 寝入ってしまった 気がする …
時計 を 見ると 時刻 は 午前4時半 、
トイレ に 行き もう一度 ベッド に 入ってみたが
「 さすがに もう 寝れないか … 」
いや 、 眠れない というのとも 少し 違った 。
早く 出かけたくて ワクワク しちゃって
どうしようもなく 抑えられない 衝動 …
しかし まだ さすがに 早い
私は リュックから
「 地球の歩き方・アメリカ国立公園編 」 を 取り出して 読み始めた 。
今日 向かう先 の 予習 である 。
いよいよ あと 何時間後 には その地 に 立つのだ …
ずっと 行きたかった その場所 に …
5時 に なり
いよいよ ベッドにいることも 苦痛 に なってきた私 は
起き上がり 歯磨き を 始める
「 今日 は
特に 念入り に 塗っておかないとな … 」
砂漠 の 強烈な日射し と 照り返し に 備えて
ファンデーション も しっかり と …
窓の外が 明るくなってきた頃 ようやく オット も 動き始めた 。
まずは 朝 の 一服 …
ドア を 開けて 外 へ 出て行く 。
私も つられて 外へ 、 そして
煙 が 来ないよう オット の 風上 に 立つ
ちょうどその時 目の前 の 駐車場 の 向こう …
そびえたつ 岩山 から
太陽 が 顔 を のぞかせ始めた 。
その黄金色の輝き が 少しずつ 大きくなっていく …
ようやく 世の中 に 朝 が 来た
まもなく 出発 の 時間 だ
ビーティ の 町 から 走り出して すぐに
どうやら 私たち は
デスバレー国立公園内 に 入ったようだった
普通 アメリカの国立公園 には 入り口 に ゲート が あり
そこで だいたい 入園料金 を 支払うのだが
なぜか ここには ゲートらしきもの は 見当たらない
「 入ったんだよね ? 」
「 地図上 は 入った … はず … 」
ということは 再び カリフォルニア州に 入ったはず だった
デスバレー国立公園 は カリフォルニア州の 東の端 …
南北 に 長く 広がる
長野県 と ほぼ同じ広さ の 国立公園 だ
前方の山に 向かって 一本道 を 進んでいく
しばらく 走ると
道 が 2つ に 分かれるところ に 着いた
どうやら ここが 「 ヘルズゲート 」 だな
先ほど 本 で 予習したばかり の 「 地獄への入り口 」 と呼ばれる 場所だ 。
ここを 下ると 本格的 に
デスバレー = 死の谷 の いよいよ 「 谷 」 へと 入って行く
谷を見下ろす その場所 には
あずまや と ベンチ …
座って しばし 景色 を 眺める
まだ 朝の 8時前 なのにもう既に 暑かった
「 とりあえず 水 と 何か 食べるもの
買いに行く ? 」
暑い であろうこと は 理解してきた つもりだったが
想像 を はるかに 超えた 暑さだった
この時間 で これなら 日中 は どうなるのか …
すでに 不安 に なり始めていた
まずは ここから 一番近い
園内 の 町 を 目指すことにした
谷 に 向けて 坂 を 下る
草 も 生えない
岩 と 砂 だけの 大地 … 。
乾燥した空気 と 灼熱の太陽 、
そして 岩山に囲まれた谷 という 盆地のような その地形 が
熱せられた空気 を ため込んでしまい
息をするのも 苦しいような 世界 を そこに 作りあげていた
「 まるで サウナ だね … 」
車は すぐに
ストーブパイプウェルズ という ビレッジ に 着いた
太陽 が 痛すぎて
目の前 の 土産物店 に あわてて 駆け込む 。
クーラー が すさまじく よく効いた 店内 で
お土産 を 見るふりをしながら
このあと の 予定 を 話し合う
「 これ 日中 に 色々 見て回る のは
正直 、 キケンだと 思う 」
オット も 異論 は ない ようだった
ひとまず ここで 何か お腹 に 入れて
向かい の ビジターセンター で 入園料 を 払い
園内マップ や 情報が載っている冊子 を もらったら
今宵 の 宿 に 向かおう
ということに なった
店 で サンドイッチ と 飲み物 を 買って
屋根 の 下 、 日陰 の ベンチ で 食べる
「 暑いね 」
「 ヤバいね 」
しゃべるのも 億劫になる 暑さ だった
パン の 匂い に 誘われたのか
スズメたち が 寄ってきた
「 キミたち こんな暑いところで
どうやって 暮らしてるの … 」
水とか どうしてるんだろう …
初めて スズメ を 「 すごいな … 」
思った瞬間 だった
今宵の宿 と 言っても
実は 予約 を してあるわけではなかった
勝手に こちらが 泊まろうと考えているだけの
園内 の 中心地 、 ファーニスクリーク という ビレッジ にある
部屋数 200以上 の 宿泊施設 …
エントランス の すぐ横 に フロント の 建物 が あり
まずは そこへ 向かう
ここまで 1泊ずつ だったので
そろそろ 連泊 して 少し ゆっくりしたかった
空いていれば 2泊分 押さえよう …
そう 話し合っていた
デスバレー国立公園 が 一番 賑わう のは 冬 だ 。
夏 は その 殺人的暑さ ゆえ
人 が 極端に減るのだという
事実 、 5月下旬 の この時期
ファーニスクリーク に ある もうひとつのホテル は
すでに オフシーズン に 入り 休業中 だった
なので もし ここ が 空いていなければ
私たちは 再び 園外に出て 宿を 探さなければならなかったが
空いているだろう … 確信 に 近いものがあった
案の定 部屋 は 空いていて
しかも まだ 昼の 11時すぎ だと いうのに
チェックイン も できるとのことだった
「 もう 部屋 入っていいって 」
おそらく やりとりを 理解していないであろう オット に 告げる 。
せっかく の 2連泊 、 中庭 に 面した
少し いい部屋 を 押さえた
車 を 玄関前 に つけ
部屋 に 入る
「 涼しい 〜 」
エアコン 万歳 ! 私は ベッド に 倒れこんだ
そのまま どうやら 眠りにおちてしまったようだった
寝てしまった と 言っても 1時間ほど だったようだ
まだ 時刻 は 午後2時前 …
しばらく 部屋 で 暑さを やりすごさないといけない …
なにせ 外の気温 を 測って 驚いた
どこへ 行くにも オット が常に 携帯している
デジタル時計 …
「 41.5℃ だって … 」
「 日陰 に 置いてるのに 」
しかも 湿度 に いたっては LL の 表示 …
湿度低すぎ計測不能 … ってやつ である
日なた に 出ることは 命を危険にさらすこと …
なんだか そんな気 さえ してくる
その時 中庭 の 向こうから 歓声 が 聞こえた
「 プール 入ってる人 いるんだね 」
この日差し の 下では やけどしていまいそうだ …
でも ここまで来て ずっと エアコン の 効いた 部屋 に いるのも
どうなのだろう … とも 思う 。
「 勇気出して 行ってみる ? 」
ようやく 水着 を 着て 部屋 を 出るのに
30分以上 かかった
45歳 … もう そんなに 勇気 は 持ち合わせていないみたいだ
それでも それは なかなか 気持ちのいい プール だった 。
遠くに 山 を 眺めながら
ひんやり と した 水 に 入る
優雅 に 水と戯れたい ところだったが
やはり 日差し が すごい 。
結局 20分ほど で 部屋 に 逃げ帰ることになった
そして 夕方 4時すぎ
「 そろそろ 少し 気温下がったかも 」
いよいよ 出かけることにした 。
その前 に フロント に 立ち寄る 。
つい 数時間前 、 2泊 で チェックイン したばかり だったが
「 やっぱり ここに 2泊は
無理 な 気がする 」
いかんせん 昼間 に 全く 動きが取れない 。
この時期 日は長い …
今から 急いで 見るところ は 見て
明日 には ここから 脱出しよう …
そう 、 脱出 という 言葉が 一番 ピッタリな気がした 。
フロント で やっぱり 1泊にします … と 伝える
キャンセル料 とか 言われるかな ? と 思ったが
「 あぁ OK ! 」
なんとも アッサリ だった 。
そうと決まったら 見るべき 風景 を 見に行くだけだ 。
今日しかない と 思ったら 暑いなどとも 言っていられなかった
まず 目指すのは 西半球 の 最低地点 …
バッドウォーター Bad Water と 呼ばれる その場所 は
以前から 写真で見て 一度行ってみたい と ずっと思っていた場所 だった
「 ほんとに 白い 」
近づくにつれ その 真っ白な大地 は 強烈な日差し を 受けて
まぶしく 輝いていた
かつては 塩水湖 だったという その場所 には
塩の結晶 が 地平線まで 続いている
いざ 私も 大塩原 を 歩き始めたものの
暑さ と 眩しさ で すぐに 引き返す
オットに至っては 駐車場の車 の そばから 離れようともしなかった
「 コレ … やっぱり ちょっと 無理だねぇ 」
太陽の下 に 出ると あっという間に 体力を奪われる 。
それでも 西半球 の 最低地点 に 立った …
という 証拠 の 看板 だけは なんとか 撮影して
車に 乗り込んだ
「 正面の 崖 の 白い看板 が 海抜0m らしいよ 」
暑さ で あらゆることに 興味を失いつつある オット に
今さっき 撮影した 写真 を 見せた
「 へぇ 0mが あんなに上 なんだ 」
理解 できるような できないような …
海抜マイナス86m の 地面 に 立つ という 経験 。
とにかく 不思議 な 感覚 に なる 場所だった
このあと は 車の中 からの 観光 に 切り替えた 。
「 芸術家たち の パレット 」 という名 の
色とりどり の 岩山 や
バッドウォーター を 上から 見下ろす
標高1669m の ダンテスビュー …
眼下には 先ほどまでいた 海抜マイナス86m の 大塩原 が 広がり
正面 には デスバレー国立公園 の 最高地点 …
3368m の テレスコープ峰 …
標高差 3454m が 一度に 視界に 入ってくるという 眺望 …
言葉 を 発することもなく
正面の山々 に 太陽 が 隠れるまで
ただただ 眺めていた
死の谷 に 夜 が 舞い降りようとしていた
Posted by 富永美樹 at 23時55分