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出立 [本]
2010.05.12 Wedブログで話題にした本を
連載でも紹介することはしない
と決めています。
二重になるとつまらないなと思っていて。
ただ、読み終えてみると
『放課後の音符』は
連載で紹介する方が良かったかなぁと
思う本でした。
私のエッセイ『早織の本棚』を
連載させてもらっている
月刊デ・ビューは
10代の女の子読者が多いと
聞いているんですね。
(あ、もちろん、
10代の女の子以外の読者の方も
いらっしゃると思うんですが…
私がデ・ビューを読んで
オーディションを受けていたとき
14歳の女子中学生だったので、
過去の自分を読者として想定すると
エッセイが書きやすくて)
巻末の詠美さんのメッセージが
10代の女の子に読んでもらいたい
と思うものでした。
ちょっと引用。
「良い大人と悪い大人を、
きちんと区別出来る目を
養ってください。
良い大人とは、言うまでもなく
人生のいつくしみ方を
知っている人たちです。
悪い大人とは、時間、お金、
感情、すべてにおいて、
けちな人々のことです。
若いということは、
はっきり言って
無駄なことの連続です。
けれど、その無駄使いをしないと
良い大人にはならないのです。
死にたいくらいの悲しい出来事も
後になってみれば、
素晴らしき無駄使いの思い出として
心の内に常備されるのです。」
《「放課後の大好きな女の子たちへ」より》
いいですね。
無駄という言葉がすてきに見えてきました。
「そんな無駄なことしないで」
という風に咎められることが多いから
無駄をわるもの扱いしてしまう。
今日から再び青森です。
長旅なので、黄色いカバーの
『つまみぐい文学食堂』を
持ってきました。
Mitsuko [本]
2010.05.07 Fri『放課後の音符』を読み終える。
短編集です。
最後の作品、「keynote」の中で
ミルという香水が登場する。
「私は香水瓶を開けた。
甘い匂いがひろがる。
この匂い、ずい分と大人っぽい。
手軽に吹きつけるような種類ではない。」(p.170)
このくだりを読んでふいに幼少のころ嗅いだ
祖母の匂いを思い出した。
祖母は出掛けるときいつもたっぷりと
香水をつけていた。
祖母に抱きつくと
強い香りが鼻腔を刺激した。
私は祖母に
「くさい」「へんなにおい」
と訴えたが、同時に
いい匂いだとも思っていた。
祖母の匂いとして覚えた。
香水の名前はミツコ。祖母と同じ名前。
祖母は、祖母をよく撮っていた写真家から
その香水を贈ってもらっていた。
写真家の先生は、きっと、
祖母のことが好きだったのだろう。
でもそれは私の想像。
先生は結婚なさっていたし、
どんな風に祖母を思っていたかは
実のところわからないが
毎年、祖母の誕生日がくると
香水が届いていた。
祖母が先生のことを
好きだったかどうかも私は知らない。
でも、大人って何だかロマンティックなこと
するんだなと祖母の化粧台に置かれていた
ミツコを見て思った。
だって先生は
何年ぐらい
贈り続けていたのだろう。
夜10時くらいに友だちが遊びに来た。 [本]
2010.03.09 Tue「いま何してんの。ちょっと話さへん?」
と仕事終わりに電話をかけてきた。
私はお風呂から上がって本を読んでぽけーとしていて
早めに寝ようかと思っていたところだったが、
明日特に用事もないことだし久しぶりに会いたいと思って
「ほんなら家きいや」と呼び寄せた。
寝間着だけど部屋ちらかってるけどまいっか。
一日の中に全く予定になかったことが起こるのは
ちょっとたのしい。
高校生のときに出会った彼女は今美容院で働いている。
第一印象、苦手な人。
《なんだこの遠慮なくものをズケズケ言ってくる感じは、
友だちになんないタイプだわ》
と思ってたのになんとなく一緒にお弁当を食べ
球技大会に向け同じチームでがんばっているうちに
仲良くなっていた(ようなのだ)。
自分の決めつけはほんとあてにならない。
本棚をまじまじと見ている友だち。
「なんなんこれ説明文ばっかり?」
あぁ、批評とかエッセイとか・・・。って
「説明文て言い方久しぶりに聞いたわ(笑)」
「よう言うてたやん。漢文、小説、説明文、みたいな」
国語の授業の時間へ
いきなり引き戻されたような感覚がしておかしかった。
「小説、全然ないやろ」
「ほんまやなぁ。小説読んでるイメージあったのに」
それはきっと高校の図書室で
『ねじまき鳥クロニクル』を読んでいるときに
彼女が話しかけてきたことがあったからだ。
なに読んでるんと聞かれて
「ねじまき鳥クロニクル」と答えると
「???」という顔をしていた。その後
「なんて?」
「ねじまき鳥クロニクル」
という(さながらコントのような)やりとりを繰り返して
「で、それなに」
「ムラカミハルキの小説」
ねじまきどりくろにくる。
今声に出してみても変わったタイトルだなと思う。
二人でだらだらしているときに
彼女の携帯に仕事の電話が二度ほどかかってきた。
電話で話しているときの彼女は友だちではなく
しっかりと大人の口調で対応している女の人だった。
11時半ごろ帰って行った。
お互いお腹が減っていて
ラーメンを食べに行きたい気分だったけどがまん。
「今度早い時間に食べ行こ」
「休みの日あるん?」
「うーん・・・シャンプーが合格せんと休みないな(笑)」
現在シャンプーの練習中らしい。
先輩の指導を受けているところを想像した。
人にシャンプーするのむずかしそう。
以前、彼女の頭皮マッサージのモニター(という名の練習台)
になったことがある。
心地よさとは程遠く痛かった旨を伝えると
「髪の毛ひっぱってた?
いやいや、あんときよりはうまくなってるから」
「(ほんまかいな笑)はよ合格してやー」
布団の中で『深夜食堂』を読んで寝た。
ぐぐぅ。
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