早織おぼえがき - 早織オフィシャルブログ  Mitsuko

早織おぼえがき

Mitsuko[本]

2010.05.07 Fri

『放課後の音符』を読み終える。

短編集です。

最後の作品、「keynote」の中で

ミルという香水が登場する。


「私は香水瓶を開けた。

甘い匂いがひろがる。

この匂い、ずい分と大人っぽい。

手軽に吹きつけるような種類ではない。」(p.170)


このくだりを読んでふいに幼少のころ嗅いだ

祖母の匂いを思い出した。

祖母は出掛けるときいつもたっぷりと

香水をつけていた。

祖母に抱きつくと

強い香りが鼻腔を刺激した。

私は祖母に

「くさい」「へんなにおい」

と訴えたが、同時に

いい匂いだとも思っていた。

祖母の匂いとして覚えた。


香水の名前はミツコ。祖母と同じ名前。

祖母は、祖母をよく撮っていた写真家から

その香水を贈ってもらっていた。

写真家の先生は、きっと、

祖母のことが好きだったのだろう。

でもそれは私の想像。

先生は結婚なさっていたし、

どんな風に祖母を思っていたかは

実のところわからないが

毎年、祖母の誕生日がくると

香水が届いていた。

祖母が先生のことを

好きだったかどうかも私は知らない。

でも、大人って何だかロマンティックなこと

するんだなと祖母の化粧台に置かれていた

ミツコを見て思った。

だって先生は

何年ぐらい

贈り続けていたのだろう。


Posted by 早織 2010.05.07 Friat 10:58 パーマリンク

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早織

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早織

誕生日:1988年5月29日
出身地:京都府

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