朝早くに目が覚める。

撮影が何日か続いたあとの休みの日は決まってそうだ。

朝早く起きる必要は何もない。メイクのスタンバイはない。

ゆっくりと、ぐっすりと、眠っていたらいい。

しかし勝手に目が覚めてしまうのだ。

何かの条件反射のように。

私が目覚めた数分後、解除し忘れていた携帯電話のアラームが

空気を読まずに鳴る。

身体はだるく、まだ寝ていたい気持ちがあるのに、

じっと布団に入っていられなくて、

取り敢えず洗面所に行き口をすすいでみる。

頭と身体がバラバラになっているような感覚がするから

部屋の中を、自分を確かめるように、うろうろする。

冷蔵庫の前へ水を飲みに行ったり、

カーテンの隙間から窓の外を覗いてみたり。

いよいよ本当に、再び眠りにつくことはできないと感じ、

私は服を着替える。

そして薄明るい外へ出て行く。

私は朝が好きだ。

早起きは苦手ではない。

人々が起き始める前の、静かな朝が好きだ。

朝、朝‥‥お墓参りに行くのも、靴をおろすのも、

朝でなければいけないと躾られた。

撮影の次の日は一種の興奮状態なのだと思う。昂揚している。

頭が前日の撮影を思い出し、整理しようとする。

自分は何ができて何ができなかったか。

あとからあとから自分の嫌なところが思い浮かんでくる。

悔しい。私は悔しい。

自分に悔しい思いをする。

自分が悔しい思いをする？ん？わからなくなってきた。

もっと単純に書こう。

できない自分が悔しい。

前日寝るのが遅く睡眠時間をしっかりとる必要があるのに、

体が勝手に起きてしまうのは辛くもあるが、

朝の散歩の心地よさがそんなことも忘れさせてしまう。

朝の空気の清澄さが、

自分の誤りを許容してくれるような気がする。