兄ちゃんとお墓参りに行った、

はじめて。

お互い忙しいし一緒に出かけることなんてほとんどない。

家で顔を合わせることも少なく

合わせたとしてもあまり話さない。

「ひさびさやな」

「おう」


好きだけど、とても、

微妙な距離があると思う。

でも一緒にいて一番気をつかわない相手かもしれない。

兄ちゃんの前では愛想もくそもない。

「墓参り行くけどおまえもくるか？」

「行く」


日が傾き雲に隠れ

少し涼しい。

お寺についた。

バケツふたつ持って水をかける柄杓もふたつ。

しきびと線香買って

おっとタワシも忘れちゃいけない。

しきびって漢字で書けるのかしらと調べたら

本当の名前はシキミというらしい。

小さな頃から「しきびしきび」

と呼んでいたので知らなかった。

シキミの枝葉をお供えする。



「ほんまはお盆前に来ぉへんとあかんねんけどな」

「ダメダメだな」

水をかけてもくもくと墓石をみがく。

しきびを入れる筒から古い水を出した。


どろどろどろ


わ、わかめが

いやわかめなんてあるはずな・・深く考えないことにしよう。


墓石の周りに生えていた草を抜いた。

「きぃー」

「どした」

「抜いたら悲鳴が」

「マンドラゴラか」


ダメダメな私は数珠を忘れた。

手を合わせ目を瞑っていたら

そっと自分の数珠を

私の手にかけてくれた兄ちゃんありがとう。


「ＴＫＯのお焼香のネタ知ってるけ？」

「知らん」

「おもろいぞ」

詳しく話してくれたけどうまく書けない。

そのネタ観たいな。


今度一緒にご飯食べに行こうと約束した。

実現しなかったとしてもその約束の会話が嬉しい。