2016年08月25日(木)
デスバレー国立公園へ・後編2 [アウトドア・旅(森里川海)]
あくる日 は とても 風の強い日 だった 。
こういう 乾いた大地 に 強風 が 吹くと どうなるか …
身をもって 知ることになる 。
「 痛い 痛い 痛い … 」
ほんの少し だけ 肌が露出 していた 足首 に
飛んできた 砂粒 が 当たる 。
砂嵐 だった
空から は 容赦のない 太陽 の 熱 …
地面 からは 砂 …
なんて 過酷 な 環境 なんだ … 。
チェックアウト を 済ませ 砂漠の 真ん中の 一本道を
再び 白い車は 進んで行く 。
その時 車窓越しに 何かが目に入った
「 あ キツネだ 」
いや コヨーテ だったかもしれない
道に沿って 走っているもの が 見えた
あばら骨 が わかるほど 痩せ細った体 と
ボサボサ の 毛並み …
それでも 一瞬見えた 鋭い目つき …
暑さのせいか 走るスピード も 遅いようで
それは あっという間に 見えなくなった
「 こんなところで よく … 」
それ以上 オットも 私も 言葉が 出てこなかった
これまで 訪れてきた …
他の 緑あふれる国立公園 で 見る 野生動物たち とは
明らかに 違っていた 。
私たち人間 が たった1日 で 逃げ出そうとしている この過酷な環境 に 生まれて
なんとか その地で 生き抜いていく術 を 教わって 身につけて
時には 自ら 編み出して
そして 伝えて 死んで行く
彼ら に とっては それが 仕事 だ
生きていく … それだけが
彼らに与えられた 使命 …
とても シンプル で とても 困難 な 使命 である 。
野生の動物たち から 考えさせられることは 多い
デスバレー国立公園 を 後にする前 に
あと 1ヶ所だけ 見ておきたいもの が あった 。
「 あそこだ ! 」
岩山 に 囲まれた 平らな 地形の中 で
そこだけは ひときわ こんもりと 目を引いた 。
Sand Dune と 呼ばれる 、 いわゆる 砂丘 だ …
「 きれい … 」
本当は 夕方が より キレイらしい 。
しかしながら 砂丘の砂 は サラサラ で ある 。
強風 に 煽られ 空中 を 浮遊しまくる
「 痛 〜 い 」
やっぱり ゆっくり 観光 どころではない
あわてて 車 に 戻ろうとして
あるもの に つまずきそうになった
枯れ木 だった 。
生えていたまま だんだん と 命尽きていった …
そんな 感じ だった
動けるはずのない ましてや 喋れるはずもない 木 が
「 みず … 水 … 」
求めながら さまよったあげく
その場 で 息絶えた …
そんなふうに 見えた 。
「 なんか 怖い 」
曲がりくねって 生えたまま 枯れてしまった 木を見て 思った
生きようとして 生きようとして
でも 力尽きた 。
命への 執着 みたいなものを 感じた
先ほどのコヨーテ も この枯れ木 も … 。
私は この 死の谷 で
生きていくこと について 考えた
大自然の中 に 身を置くと 人は少し 哲学的 に なるのかもしれない
車 は 坂道 を 登っていた 。
海抜マイナス から 1500m まで 一気に登って 峠を越える 。
これで デスバレー とは さようなら だ
これまでも 数多くの アメリカの国立公園 を 訪れているが
ここもまた 深く心に残る 気がした 。
もう一度 行きたいか と 聞かれれば
「 う〜ん 、 どうかな 」 って 言いそうだけど 。
峠を越えたら 再び 下り坂になり
前方には また 平らな砂漠 が 見えてきた
パナミントバレー という 次なる 谷 である 。
正面 の 山 に 向かって 谷を 突っ切る まっすぐな道 が 見えた
その 行く先 は 真っ白だ
「 突っ込むしか ないよね ? 」
「 … ないねぇ 」
オット は のんびりと 答えた
窓 が 閉まっているかだけは 確認して
私たち は 猛烈な砂嵐 の 中に 進んでいった
バチバチバチバチ …
砂粒 が 車体 に 当たる音 が すごい
少しすると 写真を撮る 余裕 も 出てきた
ゴールドラッシュ とかの 西部開拓 の 時代には
こういうところ を 馬 や 幌馬車 で やって来たんでしょ ?
昔の人 って ガッツあるな 〜
改めて 感心する 。
それでも 3分ほど 走ると 砂嵐 を 抜けたようで
また 視界が クリア に なった 。
車は 正面 の 山 を もう一度 上り
とうとう シエラネバダ山脈 が 見えるところまで やってきた
今回の旅の もうひとつの 目的地 …
セコイア ・ キングスキャニオン 国立公園 は
地図 で 見ると デスバレー国立公園 の すぐ 西 に あるのだが
その 2つの 国立公園 の 間には
4000mオーバー の 山々 が 連なる シエラネバダ山脈 が あって
それを 迂回し 公園 の 西側 に 回らないと
道 が ない 。
なので ここから は もう一度 山 を 下り
シエラネバダ に ぶつかったら 進路を一度 南へ向け
山を越えられる ところまで 南下してから 再び 西へ向かい
その後 今度は 北へ走り
セコイア国立公園 を 目指す 。
ということで ここからは ひたすら オット は 運転 …
私は … まぁ 暇 ? という 我慢の時間帯 になる
シエラネバダ山脈 を 右手 に 感じながら走る州道 は
ひたすら まっすぐだった
オートクルーズ に 設定 してしまえば
ハンドル を 切る 必要 も ない …
「 飽きない ? 」
つい 聞いてしまう
「 それは 聞いちゃ ダメ な 質問 」
オット は 苦笑い で 答える 。
そりゃ 飽きるよな ぁ …
ラジオ の ボリューム を 上げて
なんとか この ひたすらまっすぐ区間 を やり過ごし
白い車 は 右折 する
再び 山道 に 入って行くが
そこは 今までのような 枯れ果てた 大地 ではなく
道沿いには 低いものの 緑の木が 生えていた
「 きっと このへんは 少しは 雨が降るんだろうね 」
山道 を 上って下って 湖ぞいを 走り
小さな村 の スーパーマーケット で デリ を 調達 。
こんな田舎 の スーパー にも
出来合い の チャイニーズ は ある 。
やたら パラパラ の チャーハン に 焼きそば みたいな フライドヌードル 、
お気に入り は オレンジチキン とかいう
甘い醤油味 で 煮込まれた 鶏肉 …
日本人 には 本当に ありがたい 味 なのだ 。
「 さてと 」
食べ終えたら もう一度 地図 を 確認 …
まもなく ぶつかるはずの道 で 今度は 北へ向かい
国立公園 の 南西側の入り口 の 手前 あたりで 宿を探す
まだまだ先 は 長そうだった
その先 に 待つのは 生命の森 …
今度は 地球上 で 最も大きな命 に 会いに行く
そして実際 うんざりするほどの 道のりの 果てには
驚きの光景 が 待っていたのだった
Posted by 富永美樹 at 21時59分