2016年08月25日(木)
デスバレー国立公園へ・後編2 [アウトドア・旅(森里川海)]
あくる日 は とても 風の強い日 だった 。
こういう 乾いた大地 に 強風 が 吹くと どうなるか …
身をもって 知ることになる 。
「 痛い 痛い 痛い … 」
ほんの少し だけ 肌が露出 していた 足首 に
飛んできた 砂粒 が 当たる 。
砂嵐 だった
空から は 容赦のない 太陽 の 熱 …
地面 からは 砂 …
なんて 過酷 な 環境 なんだ … 。
チェックアウト を 済ませ 砂漠の 真ん中の 一本道を
再び 白い車は 進んで行く 。
その時 車窓越しに 何かが目に入った
「 あ キツネだ 」
いや コヨーテ だったかもしれない
道に沿って 走っているもの が 見えた
あばら骨 が わかるほど 痩せ細った体 と
ボサボサ の 毛並み …
それでも 一瞬見えた 鋭い目つき …
暑さのせいか 走るスピード も 遅いようで
それは あっという間に 見えなくなった
「 こんなところで よく … 」
それ以上 オットも 私も 言葉が 出てこなかった
これまで 訪れてきた …
他の 緑あふれる国立公園 で 見る 野生動物たち とは
明らかに 違っていた 。
私たち人間 が たった1日 で 逃げ出そうとしている この過酷な環境 に 生まれて
なんとか その地で 生き抜いていく術 を 教わって 身につけて
時には 自ら 編み出して
そして 伝えて 死んで行く
彼ら に とっては それが 仕事 だ
生きていく … それだけが
彼らに与えられた 使命 …
とても シンプル で とても 困難 な 使命 である 。
野生の動物たち から 考えさせられることは 多い
デスバレー国立公園 を 後にする前 に
あと 1ヶ所だけ 見ておきたいもの が あった 。
「 あそこだ ! 」
岩山 に 囲まれた 平らな 地形の中 で
そこだけは ひときわ こんもりと 目を引いた 。
Sand Dune と 呼ばれる 、 いわゆる 砂丘 だ …
「 きれい … 」
本当は 夕方が より キレイらしい 。
しかしながら 砂丘の砂 は サラサラ で ある 。
強風 に 煽られ 空中 を 浮遊しまくる
「 痛 〜 い 」
やっぱり ゆっくり 観光 どころではない
あわてて 車 に 戻ろうとして
あるもの に つまずきそうになった
枯れ木 だった 。
生えていたまま だんだん と 命尽きていった …
そんな 感じ だった
動けるはずのない ましてや 喋れるはずもない 木 が
「 みず … 水 … 」
求めながら さまよったあげく
その場 で 息絶えた …
そんなふうに 見えた 。
「 なんか 怖い 」
曲がりくねって 生えたまま 枯れてしまった 木を見て 思った
生きようとして 生きようとして
でも 力尽きた 。
命への 執着 みたいなものを 感じた
先ほどのコヨーテ も この枯れ木 も … 。
私は この 死の谷 で
生きていくこと について 考えた
大自然の中 に 身を置くと 人は少し 哲学的 に なるのかもしれない
車 は 坂道 を 登っていた 。
海抜マイナス から 1500m まで 一気に登って 峠を越える 。
これで デスバレー とは さようなら だ
これまでも 数多くの アメリカの国立公園 を 訪れているが
ここもまた 深く心に残る 気がした 。
もう一度 行きたいか と 聞かれれば
「 う〜ん 、 どうかな 」 って 言いそうだけど 。
峠を越えたら 再び 下り坂になり
前方には また 平らな砂漠 が 見えてきた
パナミントバレー という 次なる 谷 である 。
正面 の 山 に 向かって 谷を 突っ切る まっすぐな道 が 見えた
その 行く先 は 真っ白だ
「 突っ込むしか ないよね ? 」
「 … ないねぇ 」
オット は のんびりと 答えた
窓 が 閉まっているかだけは 確認して
私たち は 猛烈な砂嵐 の 中に 進んでいった
バチバチバチバチ …
砂粒 が 車体 に 当たる音 が すごい
少しすると 写真を撮る 余裕 も 出てきた
ゴールドラッシュ とかの 西部開拓 の 時代には
こういうところ を 馬 や 幌馬車 で やって来たんでしょ ?
昔の人 って ガッツあるな 〜
改めて 感心する 。
それでも 3分ほど 走ると 砂嵐 を 抜けたようで
また 視界が クリア に なった 。
車は 正面 の 山 を もう一度 上り
とうとう シエラネバダ山脈 が 見えるところまで やってきた
今回の旅の もうひとつの 目的地 …
セコイア ・ キングスキャニオン 国立公園 は
地図 で 見ると デスバレー国立公園 の すぐ 西 に あるのだが
その 2つの 国立公園 の 間には
4000mオーバー の 山々 が 連なる シエラネバダ山脈 が あって
それを 迂回し 公園 の 西側 に 回らないと
道 が ない 。
なので ここから は もう一度 山 を 下り
シエラネバダ に ぶつかったら 進路を一度 南へ向け
山を越えられる ところまで 南下してから 再び 西へ向かい
その後 今度は 北へ走り
セコイア国立公園 を 目指す 。
ということで ここからは ひたすら オット は 運転 …
私は … まぁ 暇 ? という 我慢の時間帯 になる
シエラネバダ山脈 を 右手 に 感じながら走る州道 は
ひたすら まっすぐだった
オートクルーズ に 設定 してしまえば
ハンドル を 切る 必要 も ない …
「 飽きない ? 」
つい 聞いてしまう
「 それは 聞いちゃ ダメ な 質問 」
オット は 苦笑い で 答える 。
そりゃ 飽きるよな ぁ …
ラジオ の ボリューム を 上げて
なんとか この ひたすらまっすぐ区間 を やり過ごし
白い車 は 右折 する
再び 山道 に 入って行くが
そこは 今までのような 枯れ果てた 大地 ではなく
道沿いには 低いものの 緑の木が 生えていた
「 きっと このへんは 少しは 雨が降るんだろうね 」
山道 を 上って下って 湖ぞいを 走り
小さな村 の スーパーマーケット で デリ を 調達 。
こんな田舎 の スーパー にも
出来合い の チャイニーズ は ある 。
やたら パラパラ の チャーハン に 焼きそば みたいな フライドヌードル 、
お気に入り は オレンジチキン とかいう
甘い醤油味 で 煮込まれた 鶏肉 …
日本人 には 本当に ありがたい 味 なのだ 。
「 さてと 」
食べ終えたら もう一度 地図 を 確認 …
まもなく ぶつかるはずの道 で 今度は 北へ向かい
国立公園 の 南西側の入り口 の 手前 あたりで 宿を探す
まだまだ先 は 長そうだった
その先 に 待つのは 生命の森 …
今度は 地球上 で 最も大きな命 に 会いに行く
そして実際 うんざりするほどの 道のりの 果てには
驚きの光景 が 待っていたのだった
Posted by 富永美樹 at 21時59分 パーマリンク
2016年08月23日(火)
デスバレー国立公園へ・後編1 [アウトドア・旅(森里川海)]
目を開けると
まだ 世の中は 真っ暗 だった 。
前夜 は デニーズ から 戻り シャワー を して
確か
8時すぎ には すでに 寝入ってしまった 気がする …
時計 を 見ると 時刻 は 午前4時半 、
トイレ に 行き もう一度 ベッド に 入ってみたが
「 さすがに もう 寝れないか … 」
いや 、 眠れない というのとも 少し 違った 。
早く 出かけたくて ワクワク しちゃって
どうしようもなく 抑えられない 衝動 …
しかし まだ さすがに 早い
私は リュックから
「 地球の歩き方・アメリカ国立公園編 」 を 取り出して 読み始めた 。
今日 向かう先 の 予習 である 。
いよいよ あと 何時間後 には その地 に 立つのだ …
ずっと 行きたかった その場所 に …
5時 に なり
いよいよ ベッドにいることも 苦痛 に なってきた私 は
起き上がり 歯磨き を 始める
「 今日 は
特に 念入り に 塗っておかないとな … 」
砂漠 の 強烈な日射し と 照り返し に 備えて
ファンデーション も しっかり と …
窓の外が 明るくなってきた頃 ようやく オット も 動き始めた 。
まずは 朝 の 一服 …
ドア を 開けて 外 へ 出て行く 。
私も つられて 外へ 、 そして
煙 が 来ないよう オット の 風上 に 立つ
ちょうどその時 目の前 の 駐車場 の 向こう …
そびえたつ 岩山 から
太陽 が 顔 を のぞかせ始めた 。
その黄金色の輝き が 少しずつ 大きくなっていく …
ようやく 世の中 に 朝 が 来た
まもなく 出発 の 時間 だ
ビーティ の 町 から 走り出して すぐに
どうやら 私たち は
デスバレー国立公園内 に 入ったようだった
普通 アメリカの国立公園 には 入り口 に ゲート が あり
そこで だいたい 入園料金 を 支払うのだが
なぜか ここには ゲートらしきもの は 見当たらない
「 入ったんだよね ? 」
「 地図上 は 入った … はず … 」
ということは 再び カリフォルニア州に 入ったはず だった
デスバレー国立公園 は カリフォルニア州の 東の端 …
南北 に 長く 広がる
長野県 と ほぼ同じ広さ の 国立公園 だ
前方の山に 向かって 一本道 を 進んでいく
しばらく 走ると
道 が 2つ に 分かれるところ に 着いた
どうやら ここが 「 ヘルズゲート 」 だな
先ほど 本 で 予習したばかり の 「 地獄への入り口 」 と呼ばれる 場所だ 。
ここを 下ると 本格的 に
デスバレー = 死の谷 の いよいよ 「 谷 」 へと 入って行く
谷を見下ろす その場所 には
あずまや と ベンチ …
座って しばし 景色 を 眺める
まだ 朝の 8時前 なのにもう既に 暑かった
「 とりあえず 水 と 何か 食べるもの
買いに行く ? 」
暑い であろうこと は 理解してきた つもりだったが
想像 を はるかに 超えた 暑さだった
この時間 で これなら 日中 は どうなるのか …
すでに 不安 に なり始めていた
まずは ここから 一番近い
園内 の 町 を 目指すことにした
谷 に 向けて 坂 を 下る
草 も 生えない
岩 と 砂 だけの 大地 … 。
乾燥した空気 と 灼熱の太陽 、
そして 岩山に囲まれた谷 という 盆地のような その地形 が
熱せられた空気 を ため込んでしまい
息をするのも 苦しいような 世界 を そこに 作りあげていた
「 まるで サウナ だね … 」
車は すぐに
ストーブパイプウェルズ という ビレッジ に 着いた
太陽 が 痛すぎて
目の前 の 土産物店 に あわてて 駆け込む 。
クーラー が すさまじく よく効いた 店内 で
お土産 を 見るふりをしながら
このあと の 予定 を 話し合う
「 これ 日中 に 色々 見て回る のは
正直 、 キケンだと 思う 」
オット も 異論 は ない ようだった
ひとまず ここで 何か お腹 に 入れて
向かい の ビジターセンター で 入園料 を 払い
園内マップ や 情報が載っている冊子 を もらったら
今宵 の 宿 に 向かおう
ということに なった
店 で サンドイッチ と 飲み物 を 買って
屋根 の 下 、 日陰 の ベンチ で 食べる
「 暑いね 」
「 ヤバいね 」
しゃべるのも 億劫になる 暑さ だった
パン の 匂い に 誘われたのか
スズメたち が 寄ってきた
「 キミたち こんな暑いところで
どうやって 暮らしてるの … 」
水とか どうしてるんだろう …
初めて スズメ を 「 すごいな … 」
思った瞬間 だった
今宵の宿 と 言っても
実は 予約 を してあるわけではなかった
勝手に こちらが 泊まろうと考えているだけの
園内 の 中心地 、 ファーニスクリーク という ビレッジ にある
部屋数 200以上 の 宿泊施設 …
エントランス の すぐ横 に フロント の 建物 が あり
まずは そこへ 向かう
ここまで 1泊ずつ だったので
そろそろ 連泊 して 少し ゆっくりしたかった
空いていれば 2泊分 押さえよう …
そう 話し合っていた
デスバレー国立公園 が 一番 賑わう のは 冬 だ 。
夏 は その 殺人的暑さ ゆえ
人 が 極端に減るのだという
事実 、 5月下旬 の この時期
ファーニスクリーク に ある もうひとつのホテル は
すでに オフシーズン に 入り 休業中 だった
なので もし ここ が 空いていなければ
私たちは 再び 園外に出て 宿を 探さなければならなかったが
空いているだろう … 確信 に 近いものがあった
案の定 部屋 は 空いていて
しかも まだ 昼の 11時すぎ だと いうのに
チェックイン も できるとのことだった
「 もう 部屋 入っていいって 」
おそらく やりとりを 理解していないであろう オット に 告げる 。
せっかく の 2連泊 、 中庭 に 面した
少し いい部屋 を 押さえた
車 を 玄関前 に つけ
部屋 に 入る
「 涼しい 〜 」
エアコン 万歳 ! 私は ベッド に 倒れこんだ
そのまま どうやら 眠りにおちてしまったようだった
寝てしまった と 言っても 1時間ほど だったようだ
まだ 時刻 は 午後2時前 …
しばらく 部屋 で 暑さを やりすごさないといけない …
なにせ 外の気温 を 測って 驚いた
どこへ 行くにも オット が常に 携帯している
デジタル時計 …
「 41.5℃ だって … 」
「 日陰 に 置いてるのに 」
しかも 湿度 に いたっては LL の 表示 …
湿度低すぎ計測不能 … ってやつ である
日なた に 出ることは 命を危険にさらすこと …
なんだか そんな気 さえ してくる
その時 中庭 の 向こうから 歓声 が 聞こえた
「 プール 入ってる人 いるんだね 」
この日差し の 下では やけどしていまいそうだ …
でも ここまで来て ずっと エアコン の 効いた 部屋 に いるのも
どうなのだろう … とも 思う 。
「 勇気出して 行ってみる ? 」
ようやく 水着 を 着て 部屋 を 出るのに
30分以上 かかった
45歳 … もう そんなに 勇気 は 持ち合わせていないみたいだ
それでも それは なかなか 気持ちのいい プール だった 。
遠くに 山 を 眺めながら
ひんやり と した 水 に 入る
優雅 に 水と戯れたい ところだったが
やはり 日差し が すごい 。
結局 20分ほど で 部屋 に 逃げ帰ることになった
そして 夕方 4時すぎ
「 そろそろ 少し 気温下がったかも 」
いよいよ 出かけることにした 。
その前 に フロント に 立ち寄る 。
つい 数時間前 、 2泊 で チェックイン したばかり だったが
「 やっぱり ここに 2泊は
無理 な 気がする 」
いかんせん 昼間 に 全く 動きが取れない 。
この時期 日は長い …
今から 急いで 見るところ は 見て
明日 には ここから 脱出しよう …
そう 、 脱出 という 言葉が 一番 ピッタリな気がした 。
フロント で やっぱり 1泊にします … と 伝える
キャンセル料 とか 言われるかな ? と 思ったが
「 あぁ OK ! 」
なんとも アッサリ だった 。
そうと決まったら 見るべき 風景 を 見に行くだけだ 。
今日しかない と 思ったら 暑いなどとも 言っていられなかった
まず 目指すのは 西半球 の 最低地点 …
バッドウォーター Bad Water と 呼ばれる その場所 は
以前から 写真で見て 一度行ってみたい と ずっと思っていた場所 だった
「 ほんとに 白い 」
近づくにつれ その 真っ白な大地 は 強烈な日差し を 受けて
まぶしく 輝いていた
かつては 塩水湖 だったという その場所 には
塩の結晶 が 地平線まで 続いている
いざ 私も 大塩原 を 歩き始めたものの
暑さ と 眩しさ で すぐに 引き返す
オットに至っては 駐車場の車 の そばから 離れようともしなかった
「 コレ … やっぱり ちょっと 無理だねぇ 」
太陽の下 に 出ると あっという間に 体力を奪われる 。
それでも 西半球 の 最低地点 に 立った …
という 証拠 の 看板 だけは なんとか 撮影して
車に 乗り込んだ
「 正面の 崖 の 白い看板 が 海抜0m らしいよ 」
暑さ で あらゆることに 興味を失いつつある オット に
今さっき 撮影した 写真 を 見せた
「 へぇ 0mが あんなに上 なんだ 」
理解 できるような できないような …
海抜マイナス86m の 地面 に 立つ という 経験 。
とにかく 不思議 な 感覚 に なる 場所だった
このあと は 車の中 からの 観光 に 切り替えた 。
「 芸術家たち の パレット 」 という名 の
色とりどり の 岩山 や
バッドウォーター を 上から 見下ろす
標高1669m の ダンテスビュー …
眼下には 先ほどまでいた 海抜マイナス86m の 大塩原 が 広がり
正面 には デスバレー国立公園 の 最高地点 …
3368m の テレスコープ峰 …
標高差 3454m が 一度に 視界に 入ってくるという 眺望 …
言葉 を 発することもなく
正面の山々 に 太陽 が 隠れるまで
ただただ 眺めていた
死の谷 に 夜 が 舞い降りようとしていた
Posted by 富永美樹 at 23時55分 パーマリンク
2016年08月20日(土)
デスバレー国立公園へ・中編 [アウトドア・旅(森里川海)]
翌朝 。
明るくなると
ようやく 自分たち が いる 場所 の 全容 が わかり始めた 。
そこは 町 というには ほど遠い …
フリーウェイ の 出口 の ところに
ガソリンスタンド と コンビニ 、
そして 私たち が 泊まったホテル … 。
3軒 だけ …
まさに それだけの 場所 だった
周り は 草 も 生えない 茶色 の 岩山 だらけで
その 崖沿い には 1本 の 線路 が 走り
貨物列車 が 絶えず 警笛 を 鳴らしながら
恐ろしく ゆっくりとした スピード で
ゴトゴト と 岩山 を 登っていくのだった
「 はぁ どおりで ね … 」
歯 を 磨きながら 部屋の外 に 出てきた オット が つぶやいた
きっと 私が そうだったように
オット も あの 警笛音 が 気になっていたに違いない
明け方 何度 あの …
「 ファンッファーン 」 に 起こされたことか …
「 うん 。 なんか でも いいとこだね 」
うがい を 終えた オット が 言った
確かに 。
青い空 と カラカラ の 大地 と そこに 響く 警笛の音 …
アメリカ大陸 に 来たんだなぁ
という 実感 が ひしひしと わき上がってくる
さぁ
日焼け止め の ため しっかり ファンデーション を 塗ったら
いざ 国立公園 を 目指して 出発 だ
私は ベッド の 上に 地図 を 広げて 最終確認 …
ワガ家 の
アメリカドライブ旅 に おける 役割分担 は 明解 である 。
オット が プランナー & ドライバー で それ以外 が 私 …
つまり ナビ も するし ホテル も とるし
もっと わかりやすく 言うと
英語 を しゃべる係 が 私 … 。
「 え〜と 今 が おそらく このへん …
まずは 引き続き この 15号線 を ラスベガス方面 へ
途中 ネバダ州 との 州境 の 手前 …
ベイカー ってとこで 一般道127号 に おりて
127 を 北上
ショーション という 町 を 目指す … と 」
昨晩 オット に 説明された 行程 の 復習 …
アメリカ の ありがたいところ は 道が 簡単 な こと 。
大都市 さえ 抜けてしまえば
存在する道 が 限られているからほぼ 間違うことはない 。
チェックアウト を して コンビニ で 水 を 買ったら
「 よし 行くか … 」
白い車 は 再び フリーウェイ の 入り口 へと 吸い込まれた
道のり は 順調 だった 。
たまに来る 分岐 の ところさえ 間違えなければ
何百キロ 走っても タダ の
素晴らしく 走りやすい フリーウェイ が
私たち を 目的地 まで 連れて行ってくれる 。
1時間半 ほど 走ると ベイカー に 到着 、
ここで フリーウェイ とは お別れだ
一般道 127号線 は
岩山 に 囲まれた 砂の大地 の 真ん中 を 走る 一本道 で
私たち以外 に 通る 車 は ほとんど ない 。
「 わぁ この道 …
貸し切り じゃん 」
こんなに 広いところ に 私たちだけ …
すごい ような こわい ような 。
アメリカ西部 特有 の
地平線まで 続く カラカラ の 茶色い 大地 の 上を
ラジオ から 流れてくる カントリーミュージック を 聞きながら
進んで行く …
ちょうど お昼になる頃
私たち は ショーション に 到着 した
アメリカ を 日本 の 感覚 で 計ってはいけない …
大陸 を 車 で 走るたび 思わされる 。
地図 に 地名 が 書いてあるのだから そこそこ の 町 かな ?
と 思っていた ショーション だが
到着 してみると これまた 道沿い に
古びたダイナー が 1軒 と 案内所 兼 土産物屋 に
あとは 家 が 2、3軒 …
「 何にも ないねぇ … 」
ここで ランチ を しようと 思っていたのだが
すっかり アテ が 外れてしまった 。
「 とりあえず ビジターセンター 入ってみる ? 」
昔 は ガソリンスタンド だった 面影 が ふんだん に 残る
三角屋根 の 建物 に 入ってみる 。
ドア を 開けると 白髪 の おばあさん が 一人だけ …
カウンター から チラリ と こちらを 見ると
「 ハロー 」 と 声を かけてきた 。
そうだ 、 このあたり の 細かい地図 を もらっておこうかな …
その 地図 を 見ながら
おばあさん に 改めて 行き方 を 教えてもらう
すぐ先 を 左折したら
デスバレー国立公園 の 南側 の ゲート までは
どうやら もう そんなには ないらしい …
「 けっこう 近いみたいだよ 」
オット に 声 を かけたが 返事 が ない 。
「 あれ ? 」
探すと 奥の 土産物の棚 の 前 で
一点 を みつめ 立ちすくんでいる 。
近づいていくと オットの視線の先 には 一冊 の 本 …
タイトル は 「 エリア51 」 … 。
その文字 を 見た瞬間
私には オット が 考えていること …
次に 発するであろう 言葉 まで …
まさに 一瞬にして わかってしまった
そして それが このあとの 予定 を
大きく変えるかもしれない … ということも 。
「 ねぇ ここから エリア51 って 近いのか
おばあさん に 聞いてよ 」
… やっぱり 。
想像どおり オット は すでに 行く気 に なっていた
好きな番組 は NHKBS 「 超常現象ファイル 」 で
エイリアン が 出てくる 映画 は 絶対 に チェックする …
そんな オット が
アメリカ最大 の 秘密基地 と 言われる
そして 墜落した UFO が 運びこまれた ? とか 言われている
エリア51 を 素通りするはずがない 。
「 お願い … 3時間 くらい かかるって 言って 」
おばあさん に 向かって 念を送りながら
私は 入り口 の ほうへ 戻る
「 アバウト ワンナワー 」
うわ 思ったより 近いな …
しかも めったに 英語を理解しないオット が
こういう時 に 限って 聞き取れていた …
「 1時間って 言ったよね ! 行こうよ 」
目的地 を 目前 にして …
寄り道 が 決まった 。
今回 目指していた 2つの国立公園 は
どちらも カリフォルニア州 に ある 。
しかし エリア51 が あるのは ネバダ州 …
左折するはずだった 道 を 横目 に
白い車 は 引き続き 東へと 進むことになった
ほどなく 「 ここから ネバダ州 」みたいな 看板 が あり
私たちは あっけなく 州 を 越える 。
「 この道 が 突き当たった ところ に
今度は 南北 に 道が 走ってて
その東側 が 通称エリア51 って 呼ばれる 基地みたい 」
地図 を 見ながら
おばあさん に された通り の 説明 を オット に する 。
言われたように 1時間 も 走ると
確かに 1本の道 に ぶつかったのだが
その角 にも 特に 何が あるわけでもなく
どちらに 曲がればいいかも よく わからなかった 。
地図によると 右折すれば ラスベガス
左折すると
デスバレー国立公園 の 東端 を 北上 することになる
「 最終的には 左折だろうから
とりあえず 右行ってみる ? 」
岩山と 砂 しか 目に入ってこない その 三差路 を 右へ …
すると 何やら 目を引く 建物が 現れた 。
「 エイリアンセンター ? 」
なんだ コレ … しかも なんちゅう 色 …
少々 引き気味 の 私 に 気づくこともなく
すでに オット は 興味津々 だった …
「 入ってみようよ 〜 何か食べる物も あるかもよ 」
そうなのだ
とにかく お腹が減っていた 。
店に入ると まず 手前 に 土産物 が わんさか と あり
一番奥 に レストラン が あった
「 エイリアンバーガー とか あるかな ? 」
しかし メニュー は 到って普通 の それ だった
チーズバーガー と スープ 、 サラダ …
食べ終えて チップ を 計算している私 に
待ちきれないオット が 子供のような声 で 言う 。
「 先に お土産 見に行ってていい ? 」
「 はいはい どうぞ〜 」
顔も上げずに 私は 答える 。
またしても ワガ家に
ヘンテコなもの が 増えそうな予感 を ぷんぷん させつつ
オット は ウキウキ と お土産 を 見に行ったのだった 。
「 なにそれ … いらないよ 〜 」
言ってもムダ なのは わかりつつ 妻としては ささやかな抗議 …
このやりとりが 何度か 繰り返されたのち
結局
友達の子供たち への お土産 も 含めてだが
7千円ぐらい の エイリアングッズ が
オット の 部屋 に 仲間入りすることになった
「 ほら もう 行こうよ 」
なんとか 今日中 に デスバレー国立公園 に たどり着きたい …
目の前 の 道 を 北上 して
公園の北側 の ゲート近く の 町 、
ビーティ を 目指すことにした 。
結局 エリア51 は どこにあるのか …
「 きっと この山 の 向こう とか なのかなぁ 」
まるで わからなかった
この 寄り道 を すっかり 楽しんだ オット と
この 寄り道 は 本当に 必要だったのか
イマイチ 納得のいかない 私 とを 乗せた 白い車 は
その後 も ひたすら 走り続け
午後3時半すぎ ビーティ に 到着した 。
ここまでの距離 と 今の時間 を 考えると
今日 は この町 に 泊まるのが 得策 に 思えた 。
今までよりは 少し 大きな町 だが
ざっと 見たところ ホテル は 3、4軒
早いうちに 宿 を 押さえてしまうほうが 安心だった
中でも 一番 雰囲気のよさそうな
比較的 大きめのホテル を 狙う
幸い にも 部屋 は 空いていて
しかも オットこだわり の 1階の部屋 を ゲット できた 。
傷だらけ の スーツケース を 運びいれ
ホッと 一息 …
「 今日 は 早めに 夕飯食べて
早めに 休もう 」
明るいうちに 近くに みつけてあった
日本でも おなじみ デニーズ へ 向かう
アメリカ に 着いて 2日目 …
最初 の 目的地 は ようやく
すぐそばまで せまっていた
Posted by 富永美樹 at 18時00分 パーマリンク
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